2010-03-17
さよなら深夜特急

先日、ちょっと寂しいニュースを目にしました。
以前から知ってはいたのですが、とうとうその時がきましたね…
学生時代からいつも利用して慣れ親しんだ夜行急行列車の「能登」号が引退しました。
いつも全然人が乗ってないのに、実はこんなに人気者だったんですね…
記事・1
記事・2
写真は1年くらい前のものですが、見慣れたこの可愛い顔がもう逢えないのは本当に寂しい…
(娘も1度乗せてあげたかったな…)
みなさん県外へ長距離移動するのには新幹線か飛行機や高速バスでしょうが、私は好んで
週末や休日など混み合う時期を除いてはほとんど「能登」で東京と富山を行き来きていました。
引退と本数が減った原因ですが、平日の人の少ない夜行列車はお気に入りの時間と空間でした。
やはり宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を連想してしまうのですが、
1人いろんな事を考えるのにはもっとも贅沢な時間でした。
※ちなみに、「能登」は寝台列車ではありません。普通に椅子席です。
黒船レディと銀星楽団の曲でもおなじみの moon & mars(試聴できます♪)の歌詞は
この時間をヒントに生まれました。
これは、月と火星が大接近したのを題材にリリー婦人が作曲したのですが、
曲が出来た時、ピアノで弾いて聴かせてもらったリリー婦人の部屋は線路側にありました。
その時私が録音していたものに、たまたま曲の冒頭で電車の通り過ぎる音が入りました。
これを何度も何度も聞いているうちに、夜行列車から見た月と星の物語になりました。
アルバムの中でも曲の冒頭に列車の音が入っているのはそのせいです。
moon & mars
夜を越えて会いに行く 遠くに住むあの人に
冷たい風が吹くビルの森 とおり抜けて チェシャ猫のような深夜特急
零時発の長い旅を見守るのは moon & mars
明日のことを知っているかのように笑う 胸の高鳴りをよそに
あぁ きっと明日になれば あの人と私が 夜空に輝く moon & mars
優しく光る月 傍に寄り添う星
さぁ お手をどうぞ
深い碧につつまれて ガラス窓に頬よせ
大きくカーブ 列車の灯り弧を描いて 夜明けに向かって 続いてゆく
トンネル抜け 山を越えて ついて来るの? moon & mars
朝が2人に別れを告げるその時まで 寄り添っていたいからね
あぁ きっと明日になれば あの人と私も 夜空にきらめく moon & mars
別れを惜しむ月 涙をこぼす星
ねぇ 手を離さないで
海が桃色に染まる頃 あの人の街がもうすぐ見えてくる
(作詞 水林 史 ・ 作曲 廣田 ゆり)
列車の旅はそれだけでも気分が盛り上がりますが、夜行列車となるともっとです。
いままで書いた中でも最も乙女チックなものの1つでしょうか。
なのに乗ってる列車は上野発の夜行列車って激シブですね(笑)
朝焼けの海も日本海だし…
リリー婦人の書く原曲は本当に外国の美しい風景がほとんどなのに。
でも富山に銀星楽団で演奏に行った時も1度だけ利用しましたっけ、
キレイな月夜で楽しかったな。
夜行列車はどの瞬間にあっても、おセンチな、または哀しげな、そして夢のような温かい気分です。
ホームに入った時、乗った直後や発車の瞬間、消灯後、夜明け…などなど。
自分が物語の中にいられる時間です。
私は黒船レディという名前なのですが、つい物語を考える時は列車の中が多いです(汗)
以前働いていた東京ステーションホテルのレストラン「ばら」の窓から見える景色の1つにも
ブルートレインがゆっくりホームに入って来ると、そろそろレストランは閉店(夜11時くらい)の時間…
というのがあって、毎日の決まって繰り返される景色にもお気に入りがあり、それについて物語を考えたりしたものです。
私は車酔いしやすいので夜行バスはめったに乗りませんし(笑)、
もうすぐ富山まで新幹線も走るし、飛行機も便利だし、これから夜行列車に乗る機会はほとんど無いでしょう。
同じ日に並んで引退した「北陸」(※これが寝台列車)にも数回乗りました。
50年以上走っていた能登ほどではありませんが、10年以上親しんだもの、
特別な時間が無くなってしまうのはやっぱり寂しいですね。
急行「能登」号 お疲れさまでした、そして大好きでした。素敵な時間を本当にありがとう~。